校舎裏のゴミ捨て場。誰もがみんな避ける場所。
そこにやって来るのは、よほどの物好きかつ独りぼっちのわたしみたいな人間か、煙草を吸う悪い用務員さんかのどちらかだ。
「今日もいる」
そして、たまに二人が一緒になる日もある。最近だけに関して言えば、たまに……ではなく、毎日かもしれない。
用務員さん──わたしが密かに番長と呼ぶ人は、前までわたしを避けるようにいない日の方が多かった。最近は何故か、わたしが顔を出すと必ずいる。
「……お前暇かよ……」
「用務員さんだって暇人じゃん」
笑いながら、番長の隣にしゃがむ。
「俺は休憩中だから」
彼のピアスが反射して眩しい。金髪も相まって、まるで太陽そのものみたいだ。わたしなんかでは手が届かない、明るい場所にいる。
「うそだぁ」
「ほんと」
煙草の煙がピアスを隠す。わたしも隠してほしかった。誰もがみんな避けるわたしを、消してほしかった。
でも、きっとこの人は煙で隠してくれたりしない。そういう人だ。
「おい、煙草臭くなっからあんま近寄んな」
「はぁい」
「…………今日さぁ、なんか元気ない?」
「え?」
番長の目がわたしを捕まえる。直射日光。日陰者のわたしに、太陽は眩しすぎる。
「気のせいじゃない?」
「そうか? ……ま、何かあったら言えよ」
「はいはい、ありがとうございます」
番長は首を傾げながら、それでもずっと煙草を吸う。
ただ隣にいてくれる。太陽みたいな明るさで照らしてくれる。それだけで、わたしは元気になれるから。
「心配しなくて大丈夫」
2/11/2024, 4:56:13 AM