「ねぇ」
机に突っ伏して寝ていたところに声をかけられて、俺は驚いて顔を上げた。
「これ、キミの消しゴムでしょ。落ちてたよ」
「あ!…ありがとう」
「どういたしまして。じゃね」
「あっ、ちょっと。…聞きたいことあるんだけど」
「ん、なに?」
「なんかさ、あの日からも俺に随分と親切だよね。君、別に俺のこと好きじゃないのに」
「…あの時は、ごめんね。
…でも、あのときも言ったけど、私まだ恋って感情を認識できてなくてさ。そんなんで付き合ったら、キミを悲しませてしまいそうで、自分が困ると思ったんだ。エゴだよね。でも、これが本心。だから、せめてこれまで通りにキミと関わることが、私にできることかなって」
「……うん。…ありがとう」
…そんな君だから、好きになったんだ。
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私には一度だけ、告白されて付き合った子がいました。友達として好きだったから、いいよって言ったけど、最後まで彼に恋は出来なかった。中学生の時付き合いはじめて、別れたのは、高二の夏頃に、彼が『通ってる高校の子に告られた、その子の気持ちに応えたくなった』と言われて、断る理由がなかったからでした。
なんだか中途半端でいびつな経験だったようにも感じますが、女子校の中高に通い続けた私には早すぎたんでしょうか。
あのとき、告白で断っていたら、どんな風になったんだろうか、と考えてしまって、断った後の理想の関わり方を考えて書いてみました。
-【好きじゃないのに】
3/25/2026, 3:04:43 PM