ああ、あなた。
もっと、私を殺したいのでしょう?
いいわ、もっと私を憎みなさい。
あなたの瞳は素晴らしいの。
憎しみに満ちた瞳が私を火照らせるの。
そんな、瞳で見てくれるのはあなただけ。
たって、皆、私が何をしても諦めてしまうの。
私に大事な人を殺されても。
私に大切なものを奪われても。
あなたは諦めないのよね。
私を殺したくて憎いのよね。
それが、私には嬉しいの。
お願い、あなたはもう少しで私を殺せる。
だから、もっともっとあなたを苦しめてあげる。
あなたを踏みつけてあげる。
その分、あなたは強くなる。
あなたの剣は私の喉元に近づく。
そして、私と相対する。
ああ、うれしい。
私は全ての力をもってあなたを迎えてあげる。
そして、その時には私を討って。
私は悪なのだから。
罪を重ねてきたのだから。
ただただ、そうだからと生きていたのだから。
ああ、あなたとの最後の戦いはきっと素晴らしい。
きっと、恥ずかしくない英雄譚になる。
それを思うと心が踊るの。
ああ、その時を私は楽しみにしているわ。
ねぇ、でも、隣のその子は大切にして。
その子はあなたを大切にしているから。
私の知らないあなたを大切にしているから。
私を討った後はその子と幸せになって。
私を破って満たされないで。
そんなの私は許さない。
だから、私にはあなたの憎しみをちょうだい。
そして、その子は愛してあげて。
そう願えるだけで、私はとても嬉しいの。
10/9/2023, 3:50:29 PM