「好きだよ。」
その一言が口から出せれば良いのに。
それで、笑顔が見られるのに。
ただし後戻りはできなくなる。
どうしても、後戻りができなくなるのが怖かった。
相手のことなんか考えず自分を偽る生活。
全ては自分の欲の為に。
使い捨てのゴミのような存在だった。
そうだったのに。
いつからか、彼奴を恋愛対象と見るようになった。
自分が分からなくなった。
今まで何人もの自分に向けた幸せを捨てて
相手を見捨てた自分が、
偽らずに幸せになっても良いのか。
あーあ。何て自分は弱虫なんだろう。
少なくとも
今までの奴等とは違かった。
輝いて見えた。
彼奴は俺のことは恋愛対象内なんだろう。
俺もそうだ。
今までの奴等が頭によぎる。
簡単に前の奴等の愛を捨てていたのに。
ただ怖かった。
俺は前の奴等にも愛されていた。
でも、俺は今までの奴等は愛さなかった。
愛せなかったでは無い。
愛す気が無かったと言った方が正しいか?
俺は、…愛す資格はあるのか。
散々泣かせて。
留めなく溢れる涙を見ても何も思わなかった俺が。
本当に良いのか。
俺も考えているうちに涙が溢れる。
「愛したい、…でも、怖いんだよ。」
俺は子供みたいに泣きじゃくった。
4/5/2025, 11:26:37 AM