『逃れられない』
自分の命を粗末にした罰をずっと受け続けている。この世はつらく世知辛い。私を悩ませるすべてを捨て去って来世へ旅立とうと吊り下げた縄に首を掛けた。運が良ければ気を失ってそのまま御陀仏。悪ければ窒息の苦しみと首への痛みが長く続く。私は後者のほうだった。垂れ流し、掻き毟り、のたうちながらなんとか死ねたのも束の間、気がつけばまた縄を首に掛けるところから始まっている。一人で死んだがために誰にも見つけてもらえなかった体はすでに朽ち果てているというのに死の先には来世も安寧も無く、ただ繰り返されるばかり。どうしたら、どうすれば。悔恨を降り積もらせながらまた縄を手繰らされ首を掛けさせられている。
5/24/2024, 3:25:03 AM