かくひと

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今も、はなればなれである。旅というのは時に切ないもので、そこにいさえすれば幸福なのに、そこから去り、その人たちと会話することができなくなった途端、郷愁に駆られ、心に隙間風が吹くのだ。
去年旅したある島々では、私の中に今までなかった感情をもたらしてくれる人々がいた。どんなに私がへなちょこでも、駄目な姿を見せても、遠いところから来たというだけで、ずっと見捨てなかった。諦めないで、きちんと私のことを理解しようとしてくれ、話を丁寧に聞いてくれたのだ。
都会の生活に馴れた私にとっては、一人のひとをこんなにもまるごと愛そうとしてくれる人たちがいること、それ自体がもう希望で、私がなりたかった自分像であったことも、都会に帰ってきてから思い出した。
心はまだ、あの島の風景や人々との会話、笑顔に引っ張られている。たまに連絡するその返事一つで、もし戻れたときに「待ってましたよ」と、迎えてくれるようなイメージが、まだ湧いているのだ。
はなればなれでも、きっと、どこかで元気に生きている。どんなに時間がかかっても、必ず会いに戻る。それが、これからの生きる支えであるから。

11/16/2024, 7:22:50 PM