眞白あげは

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遠くの空へ

遠くの空へ
まだ名もない願いが
ひとすじの風となって流れていく。

触れられないはずの青さが
なぜだか胸の奥をあたためて、
歩き出す理由を
そっと思い出させてくれる。

昨日までの私は
小さな影の中で
迷いを抱えたまま立ち止まっていた。
けれど、ふと見上げた空の向こうに
かすかな光が揺れていて、
その揺らぎが
「まだ終わりじゃない」と囁いた。

遠くの空へ
手を伸ばすたび、
届かない距離が
逆に私を強くしていく。
届かないからこそ、
歩き続ける理由になる。

風にほどけた髪が揺れ、
胸の奥の痛みが
少しだけ軽くなる。
あの日の涙も、
あの時の悔しさも、
すべてが私の背中を押す力に変わっていく。

遠くの空へ
まだ見ぬ私がいる気がして、
その姿を追いかけるように
今日も一歩を踏み出す。

たとえ誰にも気づかれなくても、
たとえ道が細くても、
たとえ心が揺れても、
空だけはいつも
私の歩みを見守ってくれる。

夕暮れの赤に染まる雲が
静かに沈んでいくころ、
私はそっと目を閉じて
明日の光を思い描く。

遠くの空へ
願いはまだ旅の途中。
けれど、確かに進んでいる。
昨日よりも、
少しだけ遠くへ。
少しだけ強く。

そしていつか、
あの青さの向こう側で
微笑む私に出会える日を信じて、
今日もまた
遠くの空へ歩き出す。


眞白あげは

4/12/2026, 11:40:09 AM