春が来る前には、暖かな陽射しの中
少し寒い風が吹くから
薄手のコートを引っ張り出して鏡の前で着てみるの
夏が来る前には、じめじめとした空気に包まれて
ほんの少し顔がほてるから
夏祭りの予定を調べてみるの
秋が来る前には、まだ明るい夕方に
虫の音が少しだけ聞こえるから
涼しい風に当たりながら散歩をしてみるの
冬が来る前には、冷たくなった空気に凍えながら
早くなった夕暮れが見られるから
コートのポケットの暖かさを握りしめるの
新しい季節が来る前には、いつだって予感があるのに
どうして夢は突然覚めるのでしょう
夢が覚める前に
風が吹き、頬がてり、虫が鳴き、空の色が変わるなら
伝えられなかったさよならを
あなたにもう一度伝えられるのにと
そう惜しんだことさえも
朝焼けの美しさと起き抜けの涙で流れてしまうから
ただの寝起きのあくびのせいと涙を拭って
私は今日も清々しい朝を迎えるのです
3/20/2024, 10:17:49 AM