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喪失感。


主人が亡くなった。
心臓発作で、突然の別れだった。

自宅で発見したのは私。

無我夢中であまり覚えていないが、
救急車を呼び、人工呼吸などひと通りの蘇生はやっていたようだ。

それでも、主人はあの世へ行ってしまった。


葬儀・通夜・諸々の手続き…やることはたくさんあった。
多すぎるくらいだったが、やることがあると考える時間がないので楽だった。

諸々が終わって時間ができそうになると、主人の私物や思い出の品、一緒に寝ていた寝具など主人を連想させるものをどんどん処分した。

引っ越しもした。
あの家には主人との思い出が多すぎるから。

主人の死を認めたくなかった。

認めてしまったら、立っていられなかった。



いま、主人のものが何一つない新居で
だんだん、少しずつではあるが主人のことを忘れていっている自分に気づく。

自分を守るために、主人を忘れていく。

残るのは漠然とした、喪失感だけ。



「ごめんね、弱い私で。」
唯一残した主人の写真に向かって、そう呟いた。


9/11/2023, 3:40:22 AM