霧の中に入った君は、完全に見えなくなった。細かい水滴に光が乱反射しているのだろう。少し冷ややかな白いベールは君を覆い隠した。「おいで」君の声が聞こえる。霧から伸ばされる手を、僕は反射的に握った。そうして霧の中2人きり。君の手の温もりだけが、そこに確かに"在る"君の存在を証明していた。何も見えない白い世界。僕は君の手を強く握り直した。逃げないように。溶けないように。
10/18/2025, 2:39:58 PM