※2つ分の投稿です。
これはある日の出来事です。
道端を歩いていた私の前に突然、男の人が立っていたのです。
そして彼はこんなことを言っていました。
本当に僅かなことでもいい。
些細なことでもいいから、俺に相談して欲しい。
頼むから。お願いだ。
俺はもう君を失いたくないんだ。
俺はあの日、後悔をした。
だから生命をかけてこの世界に戻ってきた。
でももう時間がないんだ。
もう次元の歪みが発生してしまうから。
俺は君が好きだ。
俺は生涯君を守り抜くから。
だから……だから、俺を置いていかないで。
──彼はそう言っていつの間にか消えてしまいました。
彼が誰だったのか、恋人のいない自分には分かりません。
彼はもしかしたら戻る次元を間違えたのかもしれません。
ですが、これは言えます。
私が自分の生命を落とす可能性があること。
そして、彼に愛されてること。
この2つは忘れてはならないと思いました。
■テーマ:些細なことでも
私はときめきもきらめきもなくなりました。
私はもうだめなのかもしれません。
私は2つのことを生命をかけて守っていました。
自分で自分の生命を落とさないこと。
愛する彼を裏切らないこと。
ですが、もうだめです。
何故なら“彼”が先に死んでしまったから。
愛する“彼”が死んでしまったから。
そしたら、もう私はこの世には必要ないのです。
「もうすぐあなたに逢えるから」
私は傍らにあったナイフを自らの首に向ける。
……さようなら、世の中。
また生まれ変われるなら、その時は……。
〜数時間後〜
「あぁ!そんなっ!!!」
白衣を着た男性が横たわる女性の元へ駆け寄る。
「どうして!なんで!!!」
白衣を着た男性は女性を抱きかかえる。
「……まさか、俺の試作品のクローンが勝手に行動したから?」
白衣を着た男性はそう言うと涙を流し始めた。
「……そんな、嘘だと言ってくれ!あぁ、あと数時間前だったなら!君は死なずに済んだのに!!……そうだ、あれだ、あれを使おう。試作品のタイムマシンを」
白衣を着た男性は彼女に優しく頬に口付けをする。
「……待っていてくれ、必ず結末を変えてみせるから!」
そう言ってその男性は急いで倉庫へと向かい、おもむろにロケットのような機械に乗り込む。
「急げ!時間は3時間前!!」
そのロケットは動き出す、過去へ戻るために。
■テーマ:きらめき
─おまけ─
〜とある爆発した研究施設で発見されたページ〜
〇月✕日
俺はもうすぐ死ぬだろう。
何も研究の成果なんて得られなかった。
彼女がいなければ研究なんてどうでもいい。
あの時、未来を変えられなかったことを思い出した。
彼女を助けられなかった。
誤作動が起きて、3年前の彼女に会うことになった。
話せたのは1分弱。
戻ってきて、彼女は死んだままだった挙句、タイムマシンは壊れた。
もう過去には戻れないのだ。
俺は人間のクローンの成功によって“天才”となんて言われたが、彼女が死んだのなら意味がない。
彼女に逢いたい。
だから極秘で作った最新のタイムマシンに乗り込むんだ。
決行日は明日。
多分成功はしない。
だが、いてもたってもいられない。
失敗したら俺や研究所もろとも爆発するだろう。
でも、それでも、構わない。
いずれにしても、君に逢えるから。
また生まれ変われるなら、
その時は君の“夫”でいたい。
~END~
9/5/2023, 8:27:03 AM