maria

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快晴

「サトルおはよう。今朝はいい天気よ。」

「いってきます」

母から見えないように
制服の背中の汚れをカバンで隠しながら
玄関をでた。
 
立川さんちと山口さんちのおばちゃんたちが角で立ち話をしている。

「サトルちゃん。おはよう。今から学校?いい天気で気持ちのいい朝ね。」

「おはようございます」

まだ小さい頃から僕のことを知っているおばちゃんたちだ。
一瞬だけ目を合わせて視線を落としながら
そそくさと横を通り過ぎる。
ズボンについたスニーカーの足型を腕で隠しながら。


晴れた日が「いい天気」だなんて
誰が言い出したんだろう。

こんな日は奴等が一層陽気になって
教室の床にうずくまってすすり泣く
僕の声をBGMに
僕の上で高笑いしながら激しく踊る。


校門のところに奴等がニヤニヤしながら
僕を待っているのがみえた。



だから僕はこんな快晴の日が嫌いだ

4/13/2023, 10:49:11 PM