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宵も更けた頃、うっすらと見える雲の下で疲れた街にネオンライトが光る。北風と月明かりのコントラストに恍惚とする暇もなく、蛍の腹の中のような通りを終電を逃すまいと忙しく歩く。だが視界の端に子連れの新妻を認めると、矢庭に我が家庭の混乱の記憶が舞い戻ってきて、駅に向かう足先を留めた。そして階段の下の方の手摺に寄っかかって缶ビールを呷る。幸せな妄想に意識を沈潜させた後は、黒革のバッグを枕にしてようよう寝る。
ミッドナイトに居候する侍の一幕である。

1/27/2024, 8:57:13 AM