ぽつぽつと、小粒の雫が降ってくる。座り込む私を容赦なく濡らしていく。ぼさぼさの長い髪は顔に張り付き、服はどんどん重みが増していった。それでも私は鬱陶しくは思わなかった。ぽつぽつとおちる雫の音だけが、私の耳に入ってくる。こうして雨の冷たさと音だけを全身で受けとめる。何も考えていなかった。降り止まない雨は、私を丸ごと包み込んでいた。「降り止まない雨」
5/25/2024, 12:00:13 PM