「最適解だけを指し示す羅針盤が欲しい。数ある世界線の中で1番魅力的な未来だけを常にさすの。」
受験勉強に疲れた。とにかくその一言に尽きる。参考書と睨めっこばかりしていたので、目も脳も疲弊している。
「それって、ゲームで言う攻略本見ながらRPG楽しむ感じ?探索の醍醐味が全くないな。」彼は鼻で笑いながら、一口サイズのチョコレートを机に投げ入れた。
「チョコ乙!」
「ん。」
私は彼から貰ったチョコレートの包みを開けて口に入れた。甘い。脳に行き渡るこの上なき幸福。
「だって、未来って不安だもの。受験だけじゃないよ?社会情勢、日々のニュース、何をとっても不安ばかり。考えるの疲れた。最適解だけ知りたい。」
「自分で選択して選ばない未来ってつまらんだろ。失敗も挫折も含めて人間性ってのは磨かれるんじゃねぇの。」
「……君一体人生何周目?」
私が思わずそう言うと、彼は不敵に微笑んだ。
1/21/2025, 10:35:33 AM