とある恋人たちの日常。

Open App

 
 少しずつ気温が下がってきて、薄着で過ごすには難しい季節になりました。
 
 それなので今日は恋人とふたり休みを合わせて衣替えデーです。
 
 クローゼットの奥から収納ボックスを彼が取り出してくれる。私が受け取ろうとするけれど、彼から「重いからダメ」って言われた。だから大人しく置いてくれた収納ボックスを開けていく。
 
 このボックスは彼のだ。
 そこにはブラウンのダウンジャケットがあった。
 
「あ……」
 
 私はそのジャケットを自然と手に取ってギュッと抱きしめてしまった。
 
「どったの?」
 
 彼のジャケットを抱きしめているのを見て彼が驚いて声をかけながら隣に収納ボックスを置く。
 私の様子を見てふわりと微笑んで座ってくれた。
 
「俺のジャケット、なんか変だった?」
 
 私は首を横に振った。
 このジャケットは大切なデートの時に着てくれたから私にとって思い出が深いジャケットなの。
 
 なにより、このジャケットを着た時の彼が格好よくてドキドキしたから、その時をどうしても思い出しちゃう。
 
「変じゃないです。一度クリーニングを出しましょ」
「そうだね。君のジャケットも一緒に出そ」
「はい!」
 
 そうお互いに微笑んでから、また冬支度を進めた。
 
 
 
おわり
 
 
 
五三九、冬支度
 
 
 

11/6/2025, 12:07:42 PM