hikari

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未来への船

「一生を終えてのちに残るのは、我々が集めたものではなく、与えたものである」
三浦綾子氏の小説にある、この言葉が、好きだ。

今ある悲しみ。
結構変わり者の母親。
家族の病気と、
過去のトラウマ。
それに付随した劣等感と、
それを直向きに覆い隠したいという、
欲と散財。

一生を待たずして、
私が手に入れている全てのモノは、
流行とともに失っていく。
次へまた次へと欲のまま消費することしか頭になくなる日もある。

でもたまに、冒頭の言葉とともに思う。
私は親を選ぶことはできないが、
まぁたぶん、この親の子供をやれるのは、
きっと私ぐらい、なんじゃないかなと。

私は私の子を産む気もその予定もない。
その資格も、きっと、ない。
長い長い長い、歴史の中で、
教科書にもどこにも名ものこらない私の人生は、
非常にちっぽけであるからこそ、
何の惜しげもなく、人を愛して良いのだと、
そう許可されている。
肩書も、人の目線も一切関係ない、
私だけの人生だから。
ちっぽけな人生だから、
私は人を、
心から大切にしてよいのだ。

いつか、どこかの空の上で私を見ている「だれか」が、
仕方ないなぁ、って、降りてきてくれるかしら。

5/11/2025, 5:37:00 PM