霧つゆ

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 画面がチカチカと光って、通知を知らせる。その度にスマホを奪い取るかのようにして通知を確認するが、期待外れで布団に投げ出していた。

 あぁ、早く来ないかな。君の彼氏を名乗る男からのライン。

 そう思いながら、君のスマホをチラチラと見る。その間、君はガタガタと震えて下を向いて泣いていた。

「そんなに震えなくてもいいんだよ。」

 そう言って、君の頬を軽く撫でると、君はビクッと肩を跳ねらせた。かわいいなぁ。
 こんなに可愛い君に対して、知らないやつが彼氏を名乗るだなんて、許せないなぁ。本当の彼氏である僕が守ってあげなきゃなぁ、なんて。
 今頃、あの男は焦っているだろうな。彼女だと思っていた女から、本当の彼氏と一緒に写る写真を送られて。何枚、何十枚と送ってやった。写真を見たときの顔を君にも魅せてやりたいなぁ。…いや、やっぱり駄目。君は僕だけしか見ちゃ駄目。
 君の方を見ると、小動物みたいに小さく震える君が、小さくて可愛い口を開いて聞いてきた。

【貴方は…だれですか…?】

「やだなぁ、君の彼氏だよ。ねぇ?ダーリン。」


No.30

9/16/2024, 5:22:57 AM