能力者になりたい佐々木海星(偽名)

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【終点】
 僕は死んだ。旅行先での交通事故だ。修学旅行だったのに、僕が死んで誰もが嫌な思い出となるだろう。ごめんな。でも、僕だけが死んでよかった。僕以外の誰もがこの事故で死ななかったのだから。未練はある。親や親戚、友達とお別れもできていない。好きな人だっていた。告白もできていない。こんなバッドな終わり方は嫌だ。
 周り一面白色の世界。何かあるわけでもない。「ここが天国か?」と誤解しそうな無の世界。誰もいない。
神「やぁ、佐々木海星くん。ごめんね。僕のせいで死なせちゃって。」
海星「え?あ、はい。どちら様でしょうか?」
神「あぁ、名乗り遅れた。私はこの世界を作った神だ。見ての通り、姿も神っぽくないか?」
海星「んー。なんかチャラい男みたいな格好ですね。」
なんとまぁそいつは現役ヤンキーが来ているようなガラの悪い服を着ていた。
神「な、なんだと…これでも地上世界で流行している服と聞いて着ているのに。」
海星「どこのどいつがそれを教えたのですか?」
神「私の優しい知り合いさ。この前も食べ物を…というか話ズレてないか?」
海星「いやいや、ずらしたのあんたですけど。」
神「あははは。すまんて。で話の途中なんだが…君を死なせたのは私のミスでね。君頃の世代は今の時期を楽しんでいるのに、それを壊してしまって申し
訳なくって。」
海星「じゃぁ、元の世界にまた生き返らせてくださいよ。」
神「それがだなぁ。できないんだよ。死んだのに生きた状態。矛盾が発生し、君が死の世界に行けなくなるんだ。君一人だけが、この白い世界に残るような感じだ。」
海星「じゃぁ、僕をどうするんですか?」
神「んー。転生してみるか?」
海星「転生?男?女?」
神「最初にそれ聞くのか…なんかやばいこと考えてないよな?」
海星「何もそんな変なこと考えてねぇよ。」
神「ま、男子か女子かはガチャ、二分の一だな。んで、転生してみるか?」
海星「まぁそうですね。元の世界に未練はありましたけど、来世は幸せに暮らしたいので、死の世界に行く前に一度別の違う世界に行ってみたいです。」
神「そうか。では、君を転生させる。せいぜい、良い人生を掴めよ。」
その言葉を最後に僕は意識を失った。
 目が覚める。この天井は病院だろうか。母や父らしき人が僕を笑顔で見つめてくる。その次に、姉らしき人物が登場。あれ?どこかで見たような。
母「まぁ、この子大人しいわね。こっちを見ているわ。」
父「そうだな。産んでくれてありがとう。」
霊夢「ママ、この子だれ?」
母「あなたの弟よ。」
霊夢「弟?」
父「そうだ。霊夢には弟ができたんだ。優しくしろよ。」
霊夢「わーい。弟、弟。私に弟ができたわーい。」
 十二年後。季節の流れは早かった。僕は中学生。姉は高校一年生になっていた。年が増えるに連れ、薄々気づいたことがあった。それは…「転生先が自分の好きな人の弟だった」ということだ。生まれたときから「なんか、顔似てるな。あの人の小さい頃みたいだ。」と思っていた。完全に築いてからはとんでもない。自分の姉を異性だと思うようになっていた。しかし、それは気づいてから少しの間だけだった。両親が仕事で他県に移動することとなった。そのせいか、僕と姉は家で二人生活を送るようになった。初めは好きな人と一緒に生活できるとウキウキしていた。だが、いざ二人暮らしをしてみると、姉は家事全般不得意だった。さらに、部屋も散らかしたまま。おまけに、すべての仕事を僕に押し付けるようなひどい姉だった。
元海星「姉さん。ぐーたらしてないで、仕事手伝ってくんね?」
霊夢「えー、やだよ。私家事できないし。めんどくさいし。」
元海星「でも、一人暮らしになったとき何もできないよ。」
霊夢「家から近い学校に行って、会社も近いところ選べば平気じゃん。」
元海星「僕がいなくなったらどうするねん。」
海星「大丈夫だって、あんたが大人になった頃はもう親は帰ってると思うから。」
こいつ、僕や親がいないと何もできないくせに…。好きだと思っていた自分が馬鹿だった。とりあえず、どうしよっかな~。仕返ししたいし、今日は友達の家に泊まってみるかな。そう言って僕はスマホを開いた。
〈この話に関連するお題が出た場合、続きを書きます〉

8/11/2024, 10:29:57 AM