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終わりなき旅



17歳、夏
大人になりたかった、憧れが勝って初めて一人で旅に出た。
2つ隣の県でさえ未知の世界で見るもの全てが眩しかった。

ひとりで定食屋に行くことも初めてで
「唐揚げ定食ください。」と、たのむ声が震えた。
食べ終わり支払いを済ませると達成感を感じた。

「よし、次は喫茶店だ。50代くらいのマスターがいるノスタルジーな喫茶店にしよう。」

街を散策がてら喫茶店を探して探して探した。
そしたら見つけた。
昭和レトロな文体で書かれた喫茶店『ミニヨン』

入るとこれまた渋いマスターがいて、さらに新聞を読んでるおじさんやママ友だろう3人の奥様がいた。
極めつけは真紅色のベロア生地の座席だ。
ワクワクしかしない。

「いらっしゃい、窓際の席どうぞ」
なんて粋な計らいまでもらえた。

コーヒーなんてまだ苦い、でも、飲みたい。うーん。
ひとりで悩んでたら注文取りに来たマスターが教えてくれた。
「コーヒーフロート美味しいよ」

感動でいっぱいだった。
コーヒーフロートの味も、マスターの気遣いも、この空間の持つ穏やかな空気も。

思いつきの旅だった。
でも、私はきっとこの旅のおかげで、次の旅を思わずにはいられない。
小さな感動と好奇心を抱えてきっとずっと旅をしたくなるのだ。

5/30/2024, 1:30:53 PM