書く—書いた記録

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「ところで」
「ところで?」

「いきなり思いついたのは断末魔だったりする」
「あー、ファンタジーでたまに見るやつ」

「仏教用語だがよく使われるやつだね。トマジャガ警察というのはよく流行ったが仏教警察や人名警察はあまりいないね。人名で有名なのはサンドウィッチだが」
「あー、あの人がいないとサンドウィッチがないのか」

「包みパンとか挟みパンという造語をしているのは見たことがあるな」
「なんかそれっぽい。でもあふれるケバブ感」

「そうだね。断、末魔だけど本来の意味はだいぶ忘れられているね」
「本来の意味?」

「マッマの切れる……まつまのきれる音と入力するとこの候補が。それはさておき、末魔という切れちゃいけないのが切れる、イコール死なんだけどもその切れるが忘れ去られると意味不明な表現になる」
「へー」

「末魔も普通には文字入力できないのだけど、文字入力フロントエンドが文化に介入して語彙が減っていくというのは世界的傾向があったりする」
「あー、変換候補にないと選べないし」

「そうだね。いまの文字入力もAIが自動学習したものになっているけどなかなかできが悪い。
AIというか一般人の集合より言語学者や研究者の作る文字入力の方ができが良いということだね」
「それはそう」

「『と』とか入力すると『ところで』がすぐ出てくるからね。それと話し言葉を入力するようになったので書き言葉が使われにくくなった」
「あー」

「ここでは読みやすさのために書き言葉も混ぜてあるけどね」
「なるほど。だからちょっと堅く感じるのか」

「かも知れないね」
「かも」


お題『最後の声』

6/26/2025, 10:42:25 PM