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8月、君に会いたい




澄み渡る青空の中に美しい白のコントラストが目を引く。悠々と伸びていく飛行機雲の向こうには入道雲が見えた。もくもくふわふわと漂う姿に幼い子供が嬉しそうに頬張る甘いお菓子を思い出した。

今年もまた縁日の季節がやってくる。
祭囃子の賑やかな声、神輿を担ぐ楽しげな掛け声。
笑い合う人々の中にこっそりと紛れた小さな童は人ならざるもの特有の空気を持つ不思議な女の子だった。

目に見えないものに特別敏感なわけでもない自分にだけ見える小さな女の子の手を取り、二人一緒に大人の目をかいくぐって屋台をめぐるワクワクした気持ちはきっと忘れることはないだろう。

またね。

手を振って別れた笑顔の可愛い女の子の名前が書かれた灯籠を今年も流す時が来る。
産まれてくるはずだった私の可愛い妹に、また今年も会えるだろうか。

8/2/2025, 9:34:35 AM