「秋色」
秋色、と言われると真っ先に思いつくのはモミジやイチョウといった紅葉樹である。秋になる度にモミジの色が悪いと文句を言う祖母がうざったらしくて、秋になる度にそれを思い出してしまうのもムカつく。しかし確かに祖母の家のモミジは日の丸のように赤かった。それも含めて嫌な気持ちの向けようがなくてモヤモヤとする。
今日は紅葉が綺麗な川に、家族でモミジ狩りに来ていた。しかし、山に登るのもめんどくさい、と、河原でみんなして石をいじっていたのだ。今いくつだよ。と思うがまぁしかたない。私もなんとなく石を眺めていたがそこに突然母が駆けてきた。
母が私に見せたのは丸い石だった。卵石見つけたからあげる、とにこにこの笑顔で言われて、私はおとなしく受け取った。なるほど卵みたいな形だな。と、冷静を装って考えるが、どうも胸のあたりが晴れやかというか、何かがこみあげてくるようだった。
そのとき、赤だけでない、黄や橙やきっと茶色も混じった山並みが目に入って、この鮮やかな気持ちを、秋色と呼びたくなったのだ。
9/19/2025, 10:16:15 AM