【 一筋の光 】
その日は、いつも通りの1日だった。
強いて言うなら、家族は揃って旅行中というくらい。
ひとり飯が淋しいなんて、実家暮らしのワガママだが、
家族のありがたみを痛感した。
ベッドに入って、意識を手放しかけた時。
激しい揺れに襲われて、起き上がるのもままならない。
木造の年季の入った我が家はあっけなく崩れて、
挟まれている体は痛みを訴えている。
命の終わりは呆気ないものだと、他人事のように思う。
そんな瞼の裏に、明かりを感じた。
微かに、呼ぶ声も聞こえる。
待って!そっちに行きたい!
それだけが、今の自分の拠り所だ。
他には何も考えられない。
たとえ、空へ続く道筋だったとしても…。
11/6/2023, 5:06:09 AM