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[終わらない夏]


「ァ゙ー暑っ」
最近は日がずっと高く夜が更けるのも遅い
暑いし日焼け止めはベタベタするし
「あー、ほんと最悪...」
そんな毎日だった

君の訃報をしるまでは
「は、?」
全校集会での先生からの言葉が理解できなかった
頭をガツンと殴られたように耳がキーンとする
(ぇ、は?なんでなんでなんで...、?!)
頭の中がぐちゃぐちゃになる
周りを見れば泣いてる人、くすくすと笑っている人
体調を崩す人もたくさんいた。でもその中でなんにも思ってない人が多数だった。

[ミーンミンミンミン]
蝉の声が遠くに聞こえる夏、私は親友を失った

その日はひとりで帰った
「今日も暑いね笑」
声が聞こえた気がした、隣を見てもいないのに
彼女の声が鮮明で今が夢みたいな
そう、悪い夢なんだこれは
だから!、彼女の家に行けばきっといるはずなんだ!!

[ピンポーン]
私はドキドキしながらインターホンを鳴らす
(出て出て!)
扉が開くと、目を赤くしたおばさんがでた
ちょうど今日葬式から帰ってきたという
彼女の部屋は片付いていて、遺影が置かれていた


その時、私は初めて涙を流した
(あ、もういないんだ)

それから私はこの夏になると時々、彼女の声が聞こえる
「まじで、暑いね笑」
「うん、そうだね...今は少し寒いかな」
この夏は繰り返し、そして終わらない

8/17/2025, 5:28:43 PM