1日1小説 時間よ止まれ
「まって……!!!」
今ほど時間が止まって欲しいと思ったことはなかった。頭に駆け巡るは君との思い出。
出会いは4月、桜の木を見上げて変な顔をしていた君を見かけた時だった。自分から見た桜はきれいなのに、君から見た桜には、虫が着いていて、不愉快そうな顔をしてたっけ。
「なんでそんな顔してんの?」
あまりにも気になって話しかけたことから仲良くなった。君がみあげる先を見て、自分も同じ顔をして、見合って思わず笑ったのは、とてもいい思い出。
その後は、クラスも一緒で、席も隣で、毎日お昼を一緒に食べた。
「あ!!たまごやきはだめ!!」
「もーらいっ!」
美味しい〜!!と頬を緩ませてあまりにも美味しそうに頬張るから、つい許してしまったんだよね。
部活だけは違って、帰りも行きも一緒にはならなかった。だから、知らなかった。自分だけ知らなかった。いつも幸せだと思ってた。
でも君は……
「ばいばい。」
そう言って君は、屋上から落ちていった。
2年目の夏だった。
2/16/2025, 2:30:33 PM