文月

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『胸が高鳴る』

胸が高鳴った瞬間は、
登山で崖を登ったときだった。

この上には、どんな風景が広がっているのだろう。
そう思った瞬間、胸の鼓動はさらに速くなる。

胸が高鳴るのは、頂上に立った瞬間だけじゃない。

足場の不安定な崖に手をかけ、
一歩ずつ体を引き上げるたびに、
心臓は強く音を打つ。

滑りそうになる恐怖と、
それでも進みたいという意志がぶつかり合い、
呼吸は荒くなる。

やがて最後の一手を伸ばし、
体を引き上げた先に広がる景色。

登ってきた崖の下を見て、
「ここを私は登ってきたのか」と恐怖を覚える。
それと同時に、達成感が全身を包み込んだ。

周りの目など気にする間もなく、
「フォォォォォオ!」と高らかに叫ぶ。

「登ってやったぞ」と、
全身で実感する瞬間だった。

3/20/2026, 2:55:13 AM