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壁の向こうにはきっと、
見たこともない景色があって
例えば遥か遠く満ちる水面のような
静かで美しい光景があると
その子は本を抱いていた
色鉛筆の絵本を抱いていた

その人はその夢を哀れんで
白い壁に窓枠をつけた
遥か遠く満ちる水面
凪いだ海の写真を貼った

善行を成したとその人は言った
窓枠を見上げるその子の後ろで
良いことをしたと胸を張った

その子を閉じ込めモルモットにした
お前が言えることではあるまいに

‹窓越しに見えるのは›


指切りげんまん
嘘ついたら
針千本
拳骨万回
小指を切って
それでも繫ぐ赤い色
小指同士繫ぐ
赤い血の橋

‹赤い糸›


遠く遠く伸びる一本道
果ての新緑より尚高く
白く聳る嵐の巨塔

そんな夢を見る僕達の
空は酷く遠く狭い

‹入道雲›

7/1/2024, 10:52:04 PM