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〔お題:天気の話なんてどうだっていいんだ。僕が話したいことは、〕
【タイトル:逃避行】

「あのさ、俺たち」
「今日いい天気だね」
「……………」



俺とお前。今までずっと一緒だった。



「これで何回目だよ、お前。そーゆーのほんとやめろ」
「なんのこと?」
「そーやって話遮って来るとこだよ」


お前言ってたじゃん。ずっと一緒だよって。
それ、一生お互いが一番ってことだと思ってたんだ。なのにお前は、お前の心はだんだん俺から離れていって。
だから今日、こうして呼び出した。
のに。

「遮ってないけど?」
「嘘いってんじゃねえよ俺が大事なこと言おうとしてる時に天気の話ばっかり…!」
「だって空ってついつい見ちゃうでしょ」
「俺の話より天気のほうが大事なのかよ!!」


こうしてお前が遮るせいでまた先延ばしになる。
お前のせいだ、全部。
らしくない話をしようとするのも、らしくないくらい純粋な気持ちを抱いたのも、全部。


「分かったよ、で何?話って」
「いいか一回しか言わないぞよく聞け」
「いいから早く話して」
「分かったよ…」




これ以上離れるなんて、絶対許さねえからな。
寂しくて死にそうだから。


「俺、お前と逃げたい。誰もしらねえどっか遠いとこに」



「…ははっ、何それ告白?ふふっ…」
「わ、笑ってんじゃねえ!!こっちは真剣なんだ!!!」
「分かってるよ、ふふ…っ」
「お前なぁ…!!」
「で、何で逃げたいの?僕と」
「っそれは…なんかだんだんお前が俺から離れてってるって感じるから、寂しいと言うか、もやもやすると言うか…」
「つまり好きってこと?」
「ち・が・う!!」
「ははっ、誤魔化さないでもいいのに…まあ何でもいいや。逃げるのはいいよ。でもさ…」
「?」



「その前に、ちゃんと僕のこと好きになってね」

「………は?」

そういって去っていったアイツ。
目に焼き付いたアイツの少し照れたような笑顔。


顔に熱が集まってくる。

アイツも、同じ気持ちだったのか。
気づけば、体が動いていた。


二人きりで逃げだすまで、あと少し。

5/31/2023, 12:35:45 PM