題:微かな温もりを感じて
遺物調査の帰り道。まだ三分の一も行っていないところで雨に遭った。
行く前は快晴だったので、何の準備もしていない。
かなりの大雨だ。このままでは風邪をひいてしまう。でも近くに馬宿もないし……。
ふとリンクの方を見ると、手で雨を遮るようにして天を見上げている。
ーーリンクは風邪ひかないのかな。
そんな心配が頭をよぎった。
そう思っている内にも雨足は強くなっていく。
「……くしゅんっ」
くしゃみが出てしまった。端ないと思うと同時に、寒さに身体が震える。
と、後ろからフードが羽織られた。
驚いて後ろを見ると、リンクがやったのだと瞬時に理解した。
恥ずかしさに顔が紅潮しているのが自分でも分かる。
そして更に驚いたことに、頭に手が置かれた。リンクが自分の頭を撫でていたのだ。更に顔が赤くなる。でもそれを、心地よく思う自分もいた。
ーー子供の頃風邪をひいた時にしてもらってたのかな。
城に着くまでそうしてもらっていた。
❁ ❁ ❁
それから2週間程、あの日のリンクの手の温もりを感じ、遺物調査と泉での修行に集中出来なかったとかーー。
6/2/2025, 7:35:12 AM