親友のあなたを好きになった。
何でも知ってて、何でもわかってくれる。
『恋人にするならこんな人がいい』。
理想がつまっていた。
互いにかけがえのない存在だったけれど、いつからか『好き』に違いが出てきた。
私は親友としての面を持ったまま、同性のあなたを恋愛対象としても好きになっていた。
後から思えば、思春期特有の同性愛が膨らみすぎただけだったけれど。
その事実に気づくのに約十年。
もはや思春期というには長すぎて、本当に恋愛対象として好きだったのか、第二次性徴期独特の感情をこじらせたのかわからない。
今でも親友として好きなのは変わらないが、あんなに焦がれることはない。
あれが恋愛感情なのか不明のまま、『恋』を知らない私は随分いい歳になってしまった。
私は同性愛者ではないから、これから恋をする相手は異性だろう。
けれど、人生の約半分を侵したあの感情を、私は間違いだと思いたくない。
確かに、私は彼女を好きだった。
/『たとえ間違いだったとしても』
4/22/2023, 7:59:06 PM