「迎えに来るから、家で待ってるのよ」
そう言って出ていく母の背中を見送る。今日は甘いフルーツの匂いだった。つまり気合いが入っている証拠。1ヶ月は帰ってこないだろう。自分以外に何人同じお腹の子供がいるのかな、なんてぼんやり考えた。
やっぱり1ヶ月経っても帰ってこなかった。と言うかもう帰ってこないかもしれない。まぁやっと自分の男を見つけられたんだって少し嬉しかった。
……嘘、やっとあの人から開放されたんだって安心した。やっと、開放された。
母が出て行ってから1年。ピンポーンとインターホンが鳴る。
「はい」
「警察です。𓏸𓏸さんの連帯保証人にお名前が……」
…………まるでドラマの世界だ。本当にこんな事あるんだ。なんで自分が、
自分だけが、こんな目にあってるの。
『1年後』
6/24/2024, 10:24:06 AM