在葉

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セーター

 網目の隙間に埋もれていたい。きっとそれがいちばん温い。
 ぎゅっとし過ぎているわけでなく、かといって緩いわけではなく、丁度いい塩梅に、あったかくなるようにしてある。今ではきっと機械で作ってるこれらの始まりは手編みで、その隙間にはなにか、思いやりとか、そういう、物理的な温もり以外の何かがあるのではないかと……いいや、なんだかいい話ふうの、胡散臭い話になってきた。いちばん温いのは、布団だ。布だけで得られる温もりと安心感。あれに勝るものはない。欠点があるとすれば…

『 今日休み? カフェ行かん? 』

 友からの連絡が目に入る。スマホに一言、返信する。

『今から起きるから1時間待って』
『おはよ。おっけー』

 社会人になって数少ない、突如連絡し合える上に,急に出かけられる距離に居る友人。
 布団は温いが、当然ながら外に出られない。
 なので、セーターを着る。上着も追加。ホッカイロは…まぁ今日はいいだろう。
 ホットコーヒーとスイーツと、友との雑談に浸る、日々の隙間。

11/25/2023, 8:28:58 AM