ひとの決意を翻させることは難しい。
正確には、烏滸がましい。
ひとは、決めきれていないから悩むし、相談する。
思案しているうちはいくらでも取り返しがつく。
ただ、ひと度決めてしまったものは、鋼の意志で取り組むべきであるし、それほどの意志を持たない状態は、まだ悩んでいるとも言える。
そこまでの決意を覆すには、意志を砕かねばならない。
そこまでの意志は、悩んだ時間と、そのひとの生来の熱意から成る。
つまり、そのひとのかけた時間と、そのひととなりを、
一度否定しなければならない。
否定は辛い。いつの日がその刃は自らに向く。
そんな言葉で、相手を傷付けねばならない。
だから、烏滸がましいと思うのだ。
そんなわけで、言うのは辛いし、いつの日か私の身にも
降りかかることは解っているが。
お願いだから、
君の命をそんなに容易く棄てないでくれないか。
お題「行かないで」
10/24/2023, 11:25:20 AM