#67 心の灯火
心の中に灯火を持ち続けるんだよ…
そうすれば、神さまは見ていてくださる…
そうすれば…
ふうっと意識が浮上し、目が覚めた。
久しぶりに見た夢に出てきたのは、祖母だった。
目覚めは最悪だが、時間は待ってくれない。
仕事に行く支度を進めながらも、思考は夢の余韻に引きずられる。
灯火という言葉の柔らかなイメージとは真逆の、
業火のような執着に気づいてからは、
祖母とは少しずつ慎重に距離を置いてきた。
(押し付けの貰い火なんか要らない、私は自分で)
自分の目で見て、耳で聞いて。考えて。
意地を張ってる自覚はある。
だけど、私は自分の足で歩いていきたい。
気合いを入れようと勢いよくカーテンを開けると、
太陽の光を反射したビルの窓が煌めいて見えた。
その眩しさに目を細めて逸らし、
朝食の準備に取り掛かるためキッチンへと足を向けた。
目の奥に残った刺すような光は炎となって。
心に燻る火を飲み込み、焼き消していった。
9/3/2023, 1:57:34 AM