27(ツナ)

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「もしも君が」

もしも、仮に、万が一、ひょっとして、

こういう言葉が嫌いだった。
掴みどころがなくて曖昧で、そんなあるかないか不確かな事を考えても時間の無駄だと。

君は僕とは真逆で、よく「もしも」「もしも」と心配事の多い女性だった。
ある日、僕はそんな君にうんざりして酷いことを言ってしまった。
「起こってもいないことをウジウジ考えるな。…鬱陶しい。」と。
彼女はそんな僕に反論せず、ただ肩を落としてどこかへ消えてしまった。

それから彼女とは連絡が取れなかった。メッセージを送っても既読もつかない。
僕は心配になって「もしも君が──」と、ふと心の中で呟いた。
そして理解した。大切だからそういう言葉が出るんだ。あるとかないとか不確かとか関係ない、ただ大切に想っているから。
僕は彼女にメッセージを送った。
「酷いことを言ってごめん。君のおかげで理解したよ。もしも君に何かあったらと心配になった。…君のことを大切に想っているから。」

6/14/2025, 11:11:28 AM