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Tシャツにサンダル姿で家を飛び出した。
人生初の家出というやつだ。
行くあても、帰るつもりもなく、街を駆けた。

ある程度走って疲れた頃、小さな公園を見つけた。滑り台と砂場しかない本当に小さな公園だ。
思い返せば、母の身長を越した辺りから遊具はおろか公園にすら近づいていなかった。
けど、今のオレなら。

滑り台の階段を駆け上がる。
ひとつひとつの足場が小さくて、間抜けな足取りになった。オレしかいない公園に変な足音が響く。
そして登りきった勢いのまま滑りおりる!
と思ったが、図体のデカさが邪魔をして、滑り台に寝そべる形になった。

何気なくそのまま空を眺める。
雲ひとつなく、大小様々な光があちこちに散らばっていた。
柄にもなく星が綺麗だと思った。
オレはなんだかおかしくなって、少し笑った。

4/5/2024, 11:49:54 AM