大狗 福徠

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目に映る貴方はいつも歌っていたような気がする。
その姿が色濃く残っているだけなんでしょうけど、
それしか残んないくらい、よく歌ってたな。
いっつも違う歌を何個も歌っていたけど、
順番が違うだけでラインナップは同じだった。
気になってつい調べちゃったんだよなぁ、貴方の歌ってたやつ。
全部、死んだ人を思ったり後悔する歌だった。
誰にも吐き出せなかったか、閉じ込めることで解決しようとしたか。
結局歌としてこぼれていたみたいだけどね。
貴方が最後に歌ってたのは確か、火を付ける歌と子供を隠す歌。
連れて行ったんでしょう。
自分の弟も一緒に。
ガソリンをまいて、マッチに火をつけて、眠った弟を抱きしめて。
炭になって、性別の特定さえできなくなってたらしいよね。

どんな顔でそうしたの。
どんな顔で死んだの。

私の中には今でも貴方の歌が響いているよ。
安らかな寝床に火をつけるように、私を焼いてんの。
貴方を焼いた火の余波がさざめくように染み付いてる。
貴方の歌っていた歌を、今度は私が歌ってる。
染み付いた後悔。
貴方へ巡らす思案。
あなたと同じように。
きっと死に方も同じになるでしょうね。
貴方だけが色濃く残っているんだから。

3/7/2025, 9:03:14 PM