水晶

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『スリル』

中学校からの帰り道。1人で歩く通学路の先に小さな川があった。ある日、その川を見てあるチャレンジを思い付く。
目を閉じた状態でここから川に向かって歩き、川辺りギリギリの所でピタリと止まれるかどうか。

私は川を正面に見据えて目測した。大体私の歩幅で12歩だ。よし!目を閉じて1歩踏み出す。2歩…3歩…心で数えながら11になった時、突然足元にあった道路が消えた。
あっという間に私は川に落ちた。驚いて目を開けると、顔の半分程の水しかないのに、何故か川から顔が出せない。バタバタともがきながらも何処か頭は冷静で、昔、祖父が言った言葉が脳裏に蘇った。

「浅い川でもひっくり返ると天地が分からなくなって
溺れてしまうことがあるんだよ」
そうだ、天地だ。きっと天地が違ってるんだ。
私はえいっ!とさっきとは違う方向へ頭を上げた。やっと起き上がる事が出来きた私。祖父の言っていた事は本当だったと身にしみて分かった。

11/13/2024, 9:13:53 AM