22時17分

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やさしい嘘を求める接吻を彼にした。
最初はこわばりのものだったが、すぐにやわらかい受け入れに変わった。
このときで最も不一致のキスだった。しかし、一層それがスパイスになる。

四面楚歌。けれど二人の周りは瞬間的に恋人の聖地とかした。舌を入れ中身を味わい、離れる。
「これで最後ね」
そう言って彼女はすぐに暗殺者になった。
一人二人三人、人だったモノが四方に散らばっている。
背後を振りむく。彼が見ていた。自発的に振り向いてくれたのはこの時だけだった。
これも最後の……
彼女は自ら囮になっていた。
投獄された未来であっても、彼は助けてくれる。
だから、今は宿命から逃げて……っ。
彼女は血の海で声なき声で叫んだ。血糊のナイフが踊り狂う。

1/25/2025, 9:21:43 AM