怪々夢

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1000年先も

1日目
私の名前はガンガリンリン。宇宙飛行士だ。
宇宙船の事故のため、未知なる惑星に不時着した。
宇宙服に残った僅かな酸素では残り5分も生きていられまい。もはや意識を保つのも難しく、体を動かすこともできない。残り5分で何をするか?この惑星を我が妻の名、ナターシャとつけよう。私はナターシャの土になるのだな。薄れ行く意識の中で視界の端に緑色のアメーバが見えた。アメーバは宇宙服の隙間から侵入してくると鼻から体内に入っていった。窒息死するのが先か?このアメーバに殺されるのが先か?

2日目
目が覚めると呼吸ができない。いや、酸素がないのだから呼吸ができないのは当たり前なのだが、口と鼻が塞がっているのだ。そして左手の人差し指が緑色に変色していた。光合成だ。光合成で生体エネルギーを作り出しているのだ。あのアメーバは、宿主に寄生し、宿主が生き続けられるように体を作り変える能力を持っているのだ。私はこの現象をどう捉えたらいいのだろうか?生きていてホッとするべきか?体を作り変えられる恐怖を感じるべきなのか?

1週間目
私の体はドロドロに溶かされ大きな緑色のアメーバのようになっている。しかしまだ、脳の機能は失われておらず、脳内物質を操作されているためか、幸福感と満腹感に満たされている。私はこのアメーバに名前をつける事にした。もし生きて地球に帰れたなら子供が欲しかった。ガンガリンリンとナターシャの子供、ガネーシャと名付けよう。

1年後
私の体に別のアメーバが取り憑いた。別のアメーバとガネーシャとの戦いが始まったようだ。感覚で分かる。ドーパミンが大量に分泌されている。そして痛みが走る。しかしどうやらこの戦いはガネーシャが勝ったようだ。これがここ1年の間で起こったもっとも印象に残る出来事だった。

100年後
ガネーシャが死んだ。しかし私は死なない体に作り変えられてしまった。どうせなら思考を停止させて欲しかった。思考にもエネルギーが必要だろうに。

1000年後
私はついにアメーバに進化することに成功した。体が動かせる。だか、ダンダント・・・シ・・シコウ・・ガ・テイシ

2/3/2024, 12:35:32 PM