レイ

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#梅雨

「じゃあ、元気で。」

「………うん、君もね」

そう言って君は踵を返し、私に背中を向ける。

歩き始めた君の姿が人混みに溶けていくのを、私は微笑んで見つめていた。1度でも、君が振り返ってくれることを願って。

「…………」

そんな期待は、微笑みとともに崩れたけれど。

バシャリ、傘が地面に落ちる。
君との別れの場に、君から貰った傘があるなんて、なんて皮肉だろうか。

降り注ぐ雨が、私の涙を隠してくれる。
それだけが、救いだった。

梅雨の時期。
雨は、しばらく止まないだろう。
この雨が続く間だけは、どうか、泣くことを許して。

6/1/2023, 10:15:21 AM