霜月 朔(創作)

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Midnight Blue



静かな静かな、蒼い夜。
君の部屋を尋ねる。

闇に揺蕩う蒼を、
窓越しにそっと眺める、
君の後ろ姿が、
余りに儚げだったから、
私は君を抱き締めた。

君は何も言わず、
身動ぎもせず、
ただ、私の腕の中で、
そっと瞳を閉じた。

Midnight Blue。
闇に溶ける蒼が、
君を、そして私を、
静かに侵食していく。

作り物の恋で構わない。 
哀しい蒼に染まった、
君の虚ろな心を、
少しでも誤魔化せるなら。

お互いの息遣いで、
罅割れた心と心を、
埋め合わせようと、藻掻く。
それが偽りだと知りながら。

夜の蒼の中で、
君の温もりを、
必死に手繰り寄せる。
君は此処に居る筈なのに、
心は此処にはなくて。

君が私の腕の中に居る、
そんな、蒼い夜だけは、
私を愛しているフリをして、
偽物の笑顔を見せて。

もうすぐ、
黒くて蒼い夜が明ける。
君と私の絆の結び目も、
夜明けと共に解けていく。


8/23/2025, 6:48:26 AM