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『遠い約束』

よく顔も、声も、生憎名前も覚えてないけど

仲良い女の子が僕にはいた

今は東京に行ってるんだっけな

来年には僕も上京しようと思う

東京で仕事がやりたいからね

そういえば彼女が別れる前に何か言ってた気がする

なんだっけな、「...約束だよ」って、

詳しいことは覚えてないや

どうせ二度と逢えないだろうし...


「ねえ!」

誰だこの人は

僕は初めて仕事場に来て、はっとした

まさか、昔上京して離ればなれになった、、

ただこれじゃあ都合がよすぎる。

そう思っている最中に

彼女は僕に言った

「前会ったことあるよね?確か私が東京行く前仲良かった」

そのまさかだった

再開したことにも驚いたが

それよりも彼女が僕を覚えていて彼女の見た目も全然違うって感じたことに驚きを隠せていなかった

僕は再開の嬉しさを浸るより前に彼女に

「約束覚えてる?」と聞いた

彼女も驚いていた。

当然だ、彼女も忘れているに決まってる

しかし彼女は2度も僕の想定を上回っていた

「覚えてるよ?」

まさか覚えているとは

ただ肝心な内容を僕は忘れている

「あの約束って...」

彼女は僕の言葉を遮ってこう言った

「約束覚えててくれたんだ、よかった!」

実を言うと覚えてはいないのだが

「えーっと約束って?」

「え!?忘れたの??もう一度出会えたら...」

そこからの言葉はもう覚えていない

ただ遠かった約束が

まさかこんな幸せになるとは思ってもみなかった

なんでそんな肝心な約束忘れてたんだろうな

おかしいな僕

そんな僕を見ながら彼女も笑っていた

4/9/2025, 7:22:03 AM