ミミッキュ

Open App

"自転車に乗って"

「おぉーっ…。」
ここ最近脳を酷使する事が多かった、今日は珍しく何の予定も無い。なので、どっか行ってリフレッシュしようと思い、来たのはひまわり畑だった。澄み切った青空にひまわり達の鮮やかな黄色やオレンジが映えて、まさに夏といった風景が視界いっぱいに広がっている。
「色んな角度から見て回りたい。…けど、あんまゆっくり見て回ってると帰りが遅くなっちまうし…。いや、この広さじゃあ早歩きで見て回っても…。」
う〜ん…、と首を捻っていると、視界の端に看板が入ってきた。
「レンタルサイクル、か…。」
見ると、看板のすぐ近くに自転車の貸し出しをしている受付があった。
「自転車で回るんなら、あまり急がなくても夕方になる少し前くらいには帰れるな…よし。すみません──」
青空と同じ色の車体の自転車を1台借りて、ひまわり畑の中を散歩する事にした。自転車に乗ったのっていつぶりだろう…、と跨った時ふと思った。最後に乗ったのは確か、高校生の時か?数年のブランクに少し不安になったが、そんな事は杞憂だった。ブランクよりも長い年月乗っていたので、体に染み付いていた。久しぶりに感じる風を切って走る感覚に浸りながら、ひまわり畑の舗装された道をゆっくり、のんびりと突っ切っていく。走っていると、風を切る感覚と共にひまわりの良い香りが鼻腔をくすぐって、ただこうして走っているだけでも充分癒される。
ある程度走った所で一旦止まってひまわり畑を見る。最初に見た景色とは逆で、見えるのはひまわり達の後ろ姿。皆が一斉に太陽に向かって、一生懸命大輪の花を咲かせている。そんな強く懸命に咲くひまわり達を見て、胸がいっぱいになった。正面から見るのも良いが、後ろに回ってひまわりと一緒に太陽の光を浴びるのも良いな…。
少し見ていた後、また漕ぎ始めて時間が許す限り自転車で風とひまわりの香りと太陽の光を浴びていた。

8/14/2023, 11:01:02 AM