哀愁をそそる少女は夜に一人踊り明かす。少し埃っぽい屋根裏部屋で、音楽もなく踊っていた。派手な踊りではないし、妖精のようだと表現するにはあまりにも大人びていた。月明かりに照らされる少女の線は細く、儚げで、表情はどこか哀愁をそそるような、もの悲しい瞳をしていた。観客のいない小さな部屋で今日も月のスポットライトに照らされて少女は最後のポーズを決める。ゆったりとした仕草でお辞儀をする。その様子をじっと見つめていた月が拍手をするように煌めいた。
11/4/2022, 2:17:41 PM