いろ

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【街へ】

 ガタガタと音を立てて電車が進んでいく。車窓を流れる景色が、見慣れた水田の緑から色とりどりの住宅へ、そして秩序だった窓ガラスの並ぶビルの群れへと変わっていく様をぼんやりと眺めていた。
 近代的なホームに滑り込んだ電車のドアが、ブザー音と共に開く。荷物をまとめて降り立てば、混み合っているホームに見慣れた長身が覗いていた。
 年に一度だけ、君に会うために街へと訪れる。人混みは大の苦手だけれど、君のためならばなんのそのだ。
「久しぶり!」
 人並みを縫うように君へと駆け寄り、君の身体をギュッと抱きしめた。

1/29/2024, 6:08:19 AM