「生きる意味、ねぇ」
チラリと紙を見やって、少女は呟いた。黄色のウルフボブの毛先を指で弄りながら、座っていた椅子から降りる。
意味、いみ、イミ…
「んー、分かんないや!」
少女は持っていた紙を放り投げ、歩き出した。
行った先には、扉が一つ。開けるとキィと音がした。開けた先には、エメラルドの髪をした人が一人。
「君の生きる意味ってなぁに?」
「私の?私の生きる意味は君だよ。君は私の神様だから。」
その答えを聞くと、また少女は歩き出した。
行った先には、また扉が一つ。開けた先には、白い髪の人が一人。
「君の生きる意味はなぁに?」
「アタシの生きる意味なんて聞いて楽しいことはなぁんにもないよ。」
「知ってる。けど聞きたいの」
「ふーん、まぁアタシの生きる意味はね、気に入らないヤツを殺すこと!どう?素敵でしょう?」
その答えを聞くと、また少女は歩き出した。
行った先には、また扉が一つ。開けた先には、背の高いナニカが一つ。
「君の生きる意味ってなぁに?」
「あ”ーあ”ぅ”あ”ぇあ”あ”」
その答えを聞くと、また少女は歩き出した。
行った先には、また扉が一つ。開けた先には、黒い髪の人が一人。
「君の生きる、」
少女は言葉を呑み込んだ。
「ね、君の生きる意味は何だと思う?」
黒いウルフボブの少女は聞いた。
「そういう質問って困るね。なんて答えれば正解?正解なんてない!とか言う?まぁ何でもいいや。生きる意味だっけ?まぁアレじゃない?生まれたからじゃない?これであってる?」
「大正解!君の生きる意味はそれだ!」
そう言うと、黒い髪の少女は消えた。
残された黄色の髪の少女は、紙を拾い上げた。
『生きる意味って人それぞれやけんね!あんま考えても仕方ない!聞いて回って分かったやろ?あ!ちなみにボクの生きる意味(?)はとにかく楽しむことやよ!』
「文字だけで良くここまで五月蠅くできるなぁ」
そういうと少女は椅子に座り、目を閉じた。
4/27/2023, 1:13:11 PM