噎せかえりそうな甘いバニラの匂い
「香水臭い女は嫌いだ」
「違うでしょ?」
「は?何が違うんだよ」
「香水じゃなくて私の事が嫌いなのよ」
「…本当に面倒な女だな」
そうやってすぐ逃げようとする
どうしてこんな男すきになったのかしら
「兎に角、もう別れてくれ」
「あら あの娘の所に行くの?」
「……何処までも執念深い女だな もう行く」
彼の背中に香水をかける
「おい!!なにしやがる!…」
私が手に持った香水を見た途端彼の顔色が変わる
「それは…」
「あの娘が持ってたのよ、貴方があげたんでしょ」
「お前………」
「そっちには居ないわ」
「居るのは此方」
クローゼットの方を指差す
「貴方も入れてあげる
2人の時間を邪魔しないわ」
ーーー
ーー
噎せかえりそうな鉄の匂い
鼻つまみながらクローゼットに
香水をひとふり
「ほんと」
「貴女って悪趣味」
8/31/2023, 6:07:35 AM