『愛と平和』
戦争を終わらせることができれば平和な世の中を築ける。理想のために敵方の将を破り、我が国は勝利した。
国を治める立場になり、敗戦国にも目をかけていたのだが報復は突然に行われて妻は亡きものにされた。
「当然の報いだろう」
悪びれもせず言い放った者を目の前にして冷静さを保てるはずはなかった。
『他者を思いやる心があれば争いのない平和な世の中になる』
妻のよく言っていた言葉が脳裏を過ぎる。しかし床の血溜まりは広がり続けた。
「彼の国を滅ぼせば真の平和が訪れる」
その広がりはいずれ国土をも埋め尽くす。私は平和な世の中を作る方法をひとつしか知らなかった。
3/11/2024, 6:08:51 AM